帰省の新幹線内で読んだ。

かなり好きなんだけど、小説版だとタイラーがどんな奴なのかいまいち分からないので映画から入った方が良いと思う。
結構原作と違い、小説の方が好きなシーンも結構あるので書いてみる。

映画のネタバレがあるので観てない人はお控えください。っていうか映画を観よう。









・タイラーと「ぼく」
原作だと(映画に比べて)タイラーは冷静なテロリストという感じが強く、映画のような狂乱ぶりやカリスマ性は薄目になっている。
「ぼく」との対話シーンも少なめで、「ぼく」がタイラーに心酔していてタイラーがいなくなったときに必死に探したり蚊帳の外にされて寂しがったりするあたりのブロマンスっぽさが薄れてはいた。
ただ、マーラにタイラーを奪われた時の内心の恨み言は増えているのでそっちでブロマンスは補充しよう。


・「ぼく」の勤め先の会社
上司の部屋で自分を殴って大騒ぎするシーンは映画独自のものだったようでかなり好きだった。(あれに該当するシーンは主人公の夜のバイト先のレストランであるのだが、映画ほど面白いシーンではない)
ただ、コピー機にファイトクラブの会則を置き忘れて上司に怒られたときに居直るシーンは小説版の方が面白いので是非読んでほしい。その後もコピー機を私用しては嫌そうにする上司が加わっている。


・夜のドライブで運転する(そして事故を起こす)人
映画ではタイラーだけど、原作では「メカニック」っていう別のキャラ。
これは映画のタイラーの方が良かった。


・騒乱計画の目的、獣医学科の学生の話
小説版では反資本主義的な側面、ジェネレーションXの抱える悩みの側面がかなり強調されていて革命家っぽさが際立っていて良かったと思う。
特にタイラーとぼくが獣医学科の学生を銃で脅して勉強させるシーンは絶対に小説の方がいい。小説では「ぼく」が騒乱計画の目的を前向きに受け入れて積極的に動いているのを示すシーンでもあった。

・街中に騒乱計画メンバーがいるシーン
これは映画の方が絶望感強くてよかったと思う。
マーラを引き留めるときに「ぼく」が車道の流れを止める映画のシーンもかなり好きだし、(これは小説にもあるけど)警察に自首したらそこの警官もメンバーだったあたりも絵面的に怖すぎて良い。

・結末
映画では主人公のいるビルも爆破された?みたいなレビューが結構あったし、死を予感させる終わりだったけど、小説では主人公のビルは無事だったようだ。
主人公の述懐も入り、小説の方がやや好きかな。ただ、直前のタイラーとのやり取りの緊迫感は映画の方があったと思う。



媒体の違いをそれぞれ最大限活かすように作られていて、小説もお勧め。
今年出た新訳版の本人後書きも相当面白いので是非買って読もう。
チャック・パラニュークが飛行機に乗って給仕係と話をした後、飲み物をいくら注文しても無料だったって話や、パラニューク自身は「ファイト」のクラブでなく別の男のクラブ活動でも話の一般性は失われないと思っているという話や、「実際のファイトクラブはどこでやっているのか」という問い合わせが殺到した話やら。

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